これほど長い間、水虫に悩まされてきたにも関わらず、人間は今だに決定的な特効薬を生み出すまでに至っていません。そこには、したたかな水虫の生命力があるのです。
家庭内において、水虫菌のみがリビングのフローリングに落ちると約2週間程度で死滅するそうですが、もし人間の角質片に付着した状態で落ちた場合は、なんと3ヶ月以上も生存するといわれているのです。すさまじい生命力です。
生物の中には色々な突然変異を繰り返して進化してきたものがいます。突然変異を経過して新しい環境に適応できる生物は、さらに増殖して新しい生物群として定着します。そして新たな突然変異を繰り返しすことによって、また新しい生物群ができる。生物の進化は、この繰り返しの結果と伝えられています。
ケラチンを分解する能力を保有する一種のカビから、人間の皮膚の病原菌として現在存在する水虫の原因菌の白癬菌になる過程も、このような進化の結果であると考えられているのです。最初は、このようなカビが人間の皮膚に付着しても、免疫力が機能してすぐに排除されていた筈です。しかし、突然変異を繰り返す進化の過程で、異物を排除する人間の免疫能力をあまり刺激せずに角質層に侵入できるようになってきたのではないかと考えられています。
こうして、人間の皮膚で生存するのに適応したカビが進化、増殖した結果、白癬菌のような皮膚に容易に寄生して繁殖するカビが出現してきたと考えられているのです。