生物の最も外側の層である角層を形成する主な成分は、硬いタンパク質であるケラチンなのです。土中や土の表面で野菜や肉類がすぐ微生物によって分解されてしまうのに、毛髪などがその形状を長く保っている事から分かるように、殆どの微生物はこのケラチンを分解する能力がありません。
土中の微生物達は、土の上に落ちた様々な有機物を分解して生存していますが、それらの微生物の殆どが利用できない硬いタンパク質のケラチンを分解できるようになれば、この微生物間の激しい生存競争に大変有利になるのです。この最強の能力を地上の微生物で1番最初に身に付けたのが、カビの1種である好ケラチン性真菌という白癬菌の祖先だったのです。
やがて、このカビは獲物(ケラチン)が偶然落ちてくるを土中で待つよりも、ケラチンを形成している生物に直接寄生するようになってきます。しかし、好ケラチン性真菌が人の皮膚について増殖したとしても、人にとってこのカビは「攻撃する異物」なので、それに対する免疫の修復反応で正常な状態に戻ろうとして耐性を作ります。
ただ、この白癬菌の祖先の好ケラチン性真菌というカビが、他の微生物と決定的に違うのは、長い年月をかけて進化してきているという点です。白癬菌の祖先は、他の動植物と同等な複雑な生活様式や自然環境への巧みな適応が見られることがわかってきているのです。
現代でも人間達を悩ます白癬菌は、長い年月をかけて寄生を繰り返しながら、人間の耐性を上回るべく逞しく進化してきたのです。